「発達障害」てどのような病気?

発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。そのため、養育者が育児の悩みを抱えたり、子どもが生きづらさを感じたりすることもあります。

子供さんに多くみられますが、昨今では成人の方々においても多勢おられことが周知されてきました。
こだわりの強い興味のある好きなこと以外は、「どうでもよく」、年齢にそぐわずに、落ち着きがなくて注意散漫なため、思いついたら先々を考えることなく、自分の気もちが優先することから突飛で衝動的ともいえる行動に移ることが多いといわれています。

発達障害があっても、本人や家族・周囲の人が特性に応じた日常生活や学校・職場での過ごし方を工夫することで、持っている力を活かしやすくなったり、日常生活の困難を軽減させたりすることができます。

発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの特性なのです。

発達障害には

  • 自閉スペクトラム症
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
  • 学習症(学習障害)
  • チック症
  • 吃音

などが含まれます。同じ障害名でも特性の現れ方が違ったり、いくつかの発達障害を併せ持ったりすることもあります。

自閉スペクトラム症とは?

「自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)」は、対人関係が苦手・強いこだわりといった特徴をもつ発達障害の一つです。近年では、早ければ1歳半の乳幼児健康診査でその可能性を指摘されることがあります。

コミュニケーションの場面

言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。また、特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強かったりします。また、感覚の過敏さを持ち合わせている場合もあります。

自閉スペクトラム症が疑われるお子さんには、次のような特徴がみられます。

  • 視線が合わないか、合っても共感的でない
  • 表情が乏しい、または不自然
  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 人見知りしない、親の後追いをしない
  • ひとりごとが多い、人の言ったことをオウム返しする
  • 一人遊びが多い、ごっこ遊びを好まない
  • 食べ物の好き嫌いが強い
  • 欲しいものを「あれとって」と言葉や身振りで伝えずに、親の手をつかんで連れて行って示す

などの特徴があります。この症状に該当するから、自閉症スペクトラム症というわけでもございませんので、参考程度にしていただければ思います。

注意欠如・多動症(ADHD)とは

発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があります。多動性−衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もあります。

ADHDのあるお子さまは、その特性により授業中、集中することが難しかったり、忘れ物が多いなどがあり、叱られることが多くなりがちです。叱られることが増えていくと、自信を失い、追い詰められてしまうということもあるので、お子さまの特性を理解し接することが大切です。

ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方よく見られる行動

  • 落ち着きがなく注意を持続することが難しい、または困難である。
  • 授業中や仕事中に立ち歩くことや、途中でどこかに行ってしまう。
  • 気が散りやすい。集中力が続かない。
  • 与えられた課題の途中で、別のことに手を出してしまう。
  • 失くし物や忘れ物をしやすい。
  • 仕事に必要な書類や文具など失くし物や落し物が多い。
  • 課題など忘れ物をすることがよくある。
  • ルールを守ることが難しい。
  • 指示は理解できても、従うことが難しい。

などの特徴があります。この症状に該当するから、注意欠如・多動症というわけでもございませんので、参考程度にしていただければ思います。

学習障害(LD)とは

全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる状態をいいます。

まったく読めない・書けないということではなく、また読みにくさ・書きにくさの程度や現れる症状も人によって異なります。例えば「文字を書き写すことが極端に苦手」など特定の能力だけに症状が現れる人もいれば、「読み書き全般が苦手」など複数の症状がある人もいます。

読むことが苦手

►字を読むことに困難がある症状です。読字障害は学習障害と診断された人の中で一番多く見られます。

►一文字ずつ区切る「逐次(ちくじ)読み」をするため、音読の速度が遅い

►「ろ」や「る」など形の似ている文字を見分けにくいなど

書くことが苦手

►文字や文章を書くことに困難が生じる症状です。字が全く書けないわけではありません。

►漢字をなかなか覚えられない(覚えても忘れやすい)

►人の書いたものを書き写すのが苦手など

計算が苦手

►数字そのものの概念や数量の大小、図形や立体問題の理解が難しい。

►数を数えるのが苦手、一桁の足し算・引き算の暗算が苦手、繰り上がり、繰り下がりが苦手

などの特徴があります。この症状に該当するから、学習障害というわけでもございませんので、参考程度にしていただければ思います。

その他の発達障害の種類

チック症とは

チックは、思わず起こってしまう素早い身体の動きや発声です。まばたきや咳払いなどの運動チックや音声チックが一時的に現れることは多くの子どもにあることで、そっと経過をみておいてよいものです。しかし、体質的にさまざまな運動チック、音声チックが1年以上にわたり強く持続し、日常生活に支障を来すほどになることもあり、その場合にはトゥレット症とよばれます。

吃音とは

滑らかに話すことができないという状態をいいます。
吃音とは医学的に定義すると、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつで、① 繰り返し(連発)、② 引き伸ばし(伸発)、③阻止(ブロック・難発)の3つが中核症状とされます。